投資の大敵、プロスペクト理論とは?前編 リスクと損失に潜む心理、利益確定や損切りを迷う心理などをわかりやすく解説

情報の取捨・マインド

なぜ、投資で損する人が多いのか?

破滅してしまう人がいてギャンブルなどと言われるのか?

そこには人が不利な方に動いてしまう厄介な心理があるからです。

プロスペクト理論といいます。

投資だけでなく、ビジネスでも恋愛でも陥る心理なので是非知っておいてください!

1.リスク回避と損失回避

それぞれの状況下で2択のどちらを選択する傾向があるか、について見てみましょう。

①リスク回避

利益も損失もない状況で
 a.確実に1万円貰える
 b.コイン投げをして表なら3万円貰え、裏なら0円

というゲームを持ちかけられたとき

bで裏が出て0円は嫌

確実に貰える方!

という心理でaを選ぶ人が多く、貰えないリスクを避ける

期待値はbの方が高い(3万x0.5+0=1万5千)けど、確実を取る傾向が強いです。

②損失回避

①と同じく、利益も損失もない状況で
 c.確実に1万円払う
 d.コイン投げで表なら3万円払い、裏なら0円

というゲームを持ちかけられたとき

cで確実に払うくらいなら

コインの裏に賭ける!

という心理でdを選ぶ人が多く、リスクを取ってでも確実に損する方を避ける

cの方が合理的(dの期待値はマイナス3万 x0.5 +0=マイナス1万5千)にもかかわらず、より損する可能性をいとわずにリスクが高い方を取る傾向が強いです。

③損失局面では?

すでにマイナス(3万円失った)の場合
 e.確実に1万円貰える
 f.コイン投げで表なら5万円貰え、裏なら3万円払う

というゲームを持ちかけられらとき

マイナス取り返してプラスにしてやるぜ!

という心理でfを選ぶ人が多く、マイナスを取り返す心理が強く働いてリスクを積極的に取る

期待値は同じ(fの期待値は5万x0.5+マイナス3万x0.5=1万)なのに自身の状況がマイナスだとそれを取り返したい欲求が自制心に勝ってリスクを取りやすくなります。

ギャンブルにはまり込む心理のひとつがこれです。

へ?そーなの?

もちろん他にも要因(次の項で解説します)があって複合的にはまり込む仕組みを作ってます。

この心理的な仕組みに関しては投資にも同じことが言えます。

不利な状況下では、人は冷静な判断が難しくなるということです。

何だか怖い心理だね

つまりギャンブルは胴元の取り分(パチンコ20%、競馬25%、宝くじ50%以上)を取った上、この心理を利用して負けた者からさらに搾り取るしくみになってます。

宝くじただのボッタクリじゃねーか!

このように人間は必ずしも合理的に判断を下すことができるとは限らないわけです。

感情などによるノイズによって矛盾した行動を取ってしまうことがあり、このノイズを分析したものがプロスペクト理論です。

価値関数と確率加重関数というふたつの柱で成ってます。

理論とか関数とか拒否反応

難しそうですよね。大丈夫です。

ざっくり言うと

  • 価値関数とは価値の感じ方のゆがみ→2で解説
  • 確率加重関数とは確率の感じ方のゆがみ→3で解説

ひとつづつ丁寧に解説していきます。

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2.利益:損失=1:2以上

価値関数とは価値の感じ方のゆがみということについて説明していきます。

まずは利益と損失が同じ金額なら、損失のつらさは利益の嬉しさの2倍以上に感じるということを見ていきます。

業績がいいから社長が給料1万円アップしてくれるってさ

やったぜ!ラッキー♪

この1万円増えた嬉しさと

業績悪くて社長が給料1万円カットするってさ

は?マジ?勘弁してよ!

このブラック企業が‼

1万円減ったつらさは同等ではなく、倍以上に重く感じます。

利益と損失はグラフにするとゆがんだ曲線になるということです。

こんな感じです。これの特徴は以下の通りです。

・損失は減るごとにつらさ=😢も減りますが、0に近くなると急上昇します。

・利益はある程度増えたところで嬉しさ=😀はあまり上昇しなくなっていきます。

価値の感じ方のゆがみってのはこれだよ!

ではこのグラフに先ほどの1万円を当てはめてみます。

こんな感じになり、つらさ=😢の方が大きくなります。

断然つらいじゃねーか。。

およそ2倍くらいですね↓

たしかに。。でも金額が大きくなるとゆるやかになってない?

では金額を3倍にしてみます。

相変わらず利益と損失の感じ方にはゆがみがありますが、金額が大きくなっても嬉しさやつらさは比例してないことがわかります。

もっと金額増えたら気にならなくなる?

まさにそうで、金額が大きくなると最初ほど価値を感じなくなっていきます。

利益が10万円のところから1万円増えても、嬉しさ😀はほとんど高まりません。

逆に言えば損失が10万円から11万円になっても、さほどつらさ😢を感じなくなっていくわけです。

利益が出始めたときと、損失が出始めたときが一番気持ちに影響が出るわけだね!

これを投資に置き換えて考えると、

少しの利益、損失で気持ちが動揺しやすいので

・利益、損失が少し出たところで動揺から逃れたくなって決済してしまう。

チキン決済

・ある程度になると最初ほどの動揺がなくなるため、損失の場合ズルズルと損を大きくしてしまう傾向がある。

損切りできない病、塩漬け病

ということが言えます。

さらに前項のコイン投げの③のケース↓では、

すでにマイナス(3万円失った)の場合
 e.確実に1万円貰える
 f.コイン投げで表なら5万円貰え、裏なら3万円払う

マイナスを取り返す心理でリスクを積極的に取るだけでなく、

コイン投げで負けてマイナスが倍になってもつらさ😢は倍にならない

ということになり、

連敗かよ!こうなったら勝つまでやったる!

こんな心理に陥りかねません。

ここまでをさくっとまとめてみると

☆利益のときやフラットなときは安全思考が強く、損を避けようとリスクを取らないのでチャンスを逃しやすい上に薄利で終わらせてしまいがちになる。

★損失の時はつらさが大きいので解消したい、取り返したいがためにリスク思考にかたよりやすくさらに損を重ねてもつらさは小さくなっていくので自ら大損に向かっていきやすい

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3.宝くじって意外と当たるんじゃね?心理

プロスペクト理論のもうひとつの柱である確率加重関数は、確率の感じ方のゆがみだとお伝えしました。

確率〇〇%は日常でよく使う身近なものです。

降水確率30%かぁ

傘どうしよっかな?

当選確率60%?

ビミョーだな!

ところが、○○%と示された確率を人は客観的に理解してるわけではないんです。

実は人は高い確率ほど低く見積もり、低い確率ほど高く見積もる傾向があります。

この傾向が確率の感じ方のゆがみ=確率加重関数です。

宝くじを例に見てみます。

2018年の “年末ジャンボ宝くじ” 1等の当選確率は2千万分の1(0.00000005%)でした。

天文学的な確率だね。。

人はこれだけ途方もない確率を出されても正しく認識できず、実際よりも大きく見積もってしまう(感じ方のゆがみ)ので

買ってみたら意外と当たるんじゃね?

と感じてしまいます。もちろん過度な期待です。

当たるはずのない宝くじをついつい買ってしまう心理に、確率の感じ方のゆがみ=確率加重関数が大きく影響してます。

こうして客観的に見てみるとムリだと思うことにも淡い期待をしてしまう、これは宝くじや投資に限らず恋愛などにも言えますね。

一発逆転狙いで告って玉砕したのはコレだったのか?

逆の例に大病で手術を受けるケースを見てみましょう。

あまりに高い確率は小さく感じられます。

この手術は難しいですが成功率は99.999%です!

と言われたらどうでしょう?

その0.001%は何?

逆に不安になる

という心理が確率の感じ方のゆがみが生じたときに働きます。

確率加重関数は大きすぎる確率だけでなく日常で使われる確率のゆがみにも影響してます。

人によって「高い」「低い」の基準は違いがありますが、だいたい40%が目安です。つまり40%以下の確率は実際より高く感じられやすく、40%以上の確率は実際よりも低く感じられやすくなります。

40%以下のときは少し高く感じ、以上のときは少し低く感じられるというのをグラフ化したものです。

赤で塗りつぶした部分は感じ方のゆがみ具合を表してます。

この曲がりくねった曲線が、ゆがみそのものです。

降水確率30%を高く感じて傘どうするか迷ったわけだ!

当選確率60%を低く感じてビミョーと思ったのか!

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4.リファレンスポイントの罠

あなたは2泊3日ハワイ旅行に行って初日に両替をしたとします。

今日のレートは1ドル100円で、10万円両替したとします。

千ドルになったね!

翌日ドルが急上昇!1ドル120円になりました。

そのまま円に戻すと12万円です。

もうけもうけ!

両替だけで2万♪

その翌日の帰国の日、ドルは少し戻して1ドルは110円になりました。

それでもそのまま円に戻せば11万円です。

ところが、

んだよ。1万円損した気分。。

ここに罠があります。

※あくまでもわかりやすく説明するための例えです。

為替が1日で20円上昇したら大混乱します。

現実では為替手数料や現地でドルを使うわけで儲けた気分にはなりません。

一度120円になって2万儲けた!と認識したことでリファレンスポイントが120円になってしまいました。

気持ちが120円に向いたがためにここが基準になってしまい、110円になって最初より増えてるのに損した気分になってしまいました。

含み益を確定した利益と勘違いしちゃってるよ!

含み益は決済してない状態で今の時点での利益となり得る数値で、確定してません。しかし投資で損する人は含み益をすでに ”得た気” になりがちです。

するとその値動きの最高地点を ”得た気” になるわけです。

レートは必ず上下するので上がったり下がったりを繰り返してどちらかに動きます。

戻すと損した気になり、

また最高点まで上げてくるはず

という根拠のない自分の淡い期待にすがり始めます。

前項で触れた要素ですね。結末が予想できます。

ここでさらに下げてくると、

ここで決済したら利益少なくなったままじゃねーか!大丈夫、また上がる!

しかしどんどん下げて最初より下に。つまり含み損になります。

それでもさっきの利益が忘れられないわけです。

ざわ..ざわ..
ざわ..ざわ..

どーなってんだよ!上がれ!お願いだー!

これをまんま ”お祈り” といいます。

プラスだったのにマイナスになってる現実を受け入れられません。

だから損切りもできません。

人それぞれ限界を超えてやっと損切り、できなければ塩漬け(株)で身動き取れずか、強制ロスカット(FX)で大損確定です。

目の前がゆがみます。

ぐにゃあっ
ぐにゃあっ

ああああああああ!

ここまでになるのは大げさに思えるかもですがあり得ないことではないです。

もちろんいったん下げてから再度上昇するかもしれません。

慌てて決済してしまうのは利を伸ばせない考えです。

あくまでも最初の価格に基準を置いて考えよう!

最初の価格まで下げ戻したなら含み損になる前に決済すれば問題なしです。

損はしてないもんね!

利の伸ばし方については別の機会にお伝えするとして、リファレンスポイントには気をつけましょう。

後半部分をまとめると

・人は確率を数字の大小にかかわらず甘く見積もる傾向がある。

ここに根拠のない淡い期待が生まれ、失敗をまねく要因になる。

・価値の基準を動かしてしまうことで、実際は得なのに損した気分にすらなってしまう。

これによって正常な判断力を失い、理にかなった行動が取れなくなる。

後編につづく

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