プロスペクト理論とは?後編 投資で損する心理、思考 損切りの大切さをわかりやすく解説

情報の取捨・マインド

投資で損する心理、プロスペクト理論の基本的な要素を前編でまとめてます。

投資に限らず日常の様々なシーンに影響してる心理です。

マーケティングでは期間限定割引キャンペーンや顧客満足度95%などの文言、ポイント有効期限などなど。

恋愛ではなかなか進展せず不利な状況になるとなぜか告白に踏み切って玉砕する男性。

これらはプロスペクト理論の影響の例です。

後編は日常やビジネス、投資で陥りがちな心理効果を例を挙げながら解説していきます。

4.フレーミング効果

固定観念や先入観によって引き起こされる非合理的な判断のことです。

実際に服屋で使われている例を挙げると

A.2千円のシャツを2着購入すれば会計時どちらも半額

B.2千円のシャツを2着購入すれば2着目は無料

どちらも出費は同じですがBの方が良さそうに感じます。

なぜなら半額よりも、無料という言葉に魅力を感じやすいからです。

半額だと出費が半減しただけに感じますが、無料だと出費リスクがすっかり解消されたかのような印象があります。

伝え方で魅力的に思わせる心理テクニックだね!

まさに ”言い方ひとつ” で変わるわけです。

もうひとつ例を挙げると

A.成功率95%の手術
B.失敗率5%の手術

どちらも95%成功5%失敗という点では同じ成功率ですが断然Aの方がいい印象です。

理屈で考えると同じ内容でもプラス面を見せるか、マイナス面を見せるかでガラッと印象が変わります。

言い換えを活用した例は日常にあふれるほどあります。

満足しなかった人はたった2%
→ 顧客満足度98%

タウリン1g
→ タウリン1000mg

1ヶ月間無利息のローン
→30日間無利息のローン

単位よりも数字の大きさの方が目を引引くので、

1億円よりも100,000,000円

9割より90%と表記することが多いです。

ただしひとつ注意点です。

これはあくまでもプロスペクト理論の損失回避に基づいた印象操作で、絶対的な法則ではないということです。

印象を少しずらすことで得られる効果がフレーミング効果で、広告でよく使われてますが効果絶大とは限りません。

あくまでもいい印象を抱きやすいくらいに捉えよう!

以下の例だとどうでしょうか?

A.この枕ならあなたはよく眠ることができます。
B.あなたがよく眠れないのは自分に合った枕を使ってないからで、この枕ならそんな問題を解消してくれます。

フレーミング効果で損失回避ならBが印象的ですが、Aのように断言してもらった方がいいと思う人もいます。

使い方しだいってことか!

逆に少なく感じさせる例として、投資信託の信託報酬(手数料)だと、

1千万円の運用をするとして

A.信託報酬(手数料)は年1%です。

B. 信託報酬(手数料) は年10万円です。

この場合、Aは

たったの1%

と思いがちですが、Bで実際に支払う金額を見ると

10万も手数料?

てなりますね。

%で何となく判断せずに、実際の資金に対して何万円かを考えてみるべきです。

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5.経験則に頼りすぎない

投資では特にトレードで勝ち始めると陥りやすいです。

ヒューリスティック

意思決定をするとき、論理的に考えずに直感や経験則などの思い出しやすい情報をもとに判断してしまう思考のクセ

日々のルーティンや、CMでよく見てるもの選ぶ、ステレオタイプなものの見方などがこれです。

素早い判断を求められるときになりやすいよ!

考えずにパッと決められる=脳の負担が少なくなるというメリットはありますが、重要度の高いことには注意が必要です。

短絡的な判断を招くことになるデメリットがあるからです。

即断即決!いーじゃんよ!

例えば、チャートを見ていてよく目にするチャートの形状や直近の値動きなどに重ね合わせて判断してしまうことがヒューリスティックです。

これは単にたまたま似てる、というだけで何の論理的根拠もないので失敗につながる浅い考えのトレードになります。

即断即決もケースバイケースだよ!

ここで論理的に考えることも必要、となります。

アルゴリズム

プログラムを作る際の問題を解決するための手順・方法

というのがもとの意味合いで、現在は広義に問題を解決するための手順・方法という意味合いで使われる

例:目的地へ行くための乗換案内アプリはアルゴリズムで多数の道すじから候補を絞って提案している

ヒューリスティックだけでなくアルゴリズムも取り入れて分析をして、両者をバランスよく取り入れることが投資、ことトレードでは大事です。

自分を過信せずしっかり基本に沿って分析しよう!

また、経験則を活かすために引き出しの数を増やし、自分だけの勝ちパターン(引き出しの上手な使い方)を構築していきましょう。

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6.陥りがちな心理3選

特に初心者が陥りやすい心理を3つ取り上げます。

要は先入観や思考、判断に特定のかたよりをもたらす思い込み要因=バイアスというやつです。

思い込みは無意識のうちに投資判断に影響を与えて不利な方に働くため、要注意です。

①確証バイアス

自分に都合の良い情報だけを集めようとする心理状態のことです。

ネットで情報収集するときに陥りやすいです。

例えば ”朝食を抜くと頭が冴える” という意見で調べて

16時間断食や食後の血糖値上下で眠気がくる、胃腸を休めて体調が良くなるなどが目について後押しされた気分になります。

やっぱ思った通りじゃん!みんな同じ意見♪

こういうときは反対意見を見ても受け入れたくない気持ちになり、賛成派ばかりを見るようになります。

賛成派ばかり見ているうちに多数派だから正しい、と結論付けます。 

※朝食を食べるべきか、食べないべきか、は人によるので試してみて良かった方を選びましょう。

投資では上がると思って買った場合に上がる要素だけに目が向いて下がる可能性を見つけても受け入れなくなる心理です。

さらに、例えば下がって損切りした後に上昇してしまうと

損切りしないで持ってればよかったんだ!

てなりますね。

損切りせずに持ってる方が正しいという情報だけを受け入れようとし、客観的な判断ができなくなります。

②後付け認識

後から仕入れた情報(結果)を初めから分かってたと思い込んでしまうことで、厄介です。

トレンド(一方に大きく動く)になる前には分からなかったとしても、トレンド発生して大きく動いた後になると

分かってたもんねー!カンタンじゃん!

と考えてしまい、未来が予測できると勘違いし始めます。

厄介なのは結果を見てから知ってた気になってるだけなのに自分には力がある、分かってると信じて疑わなくなることです。

未来は誰にも分らないってことを知ろう!

どんな高名なアナリストだろうと投資の神様ウォーレン・バフェットだろうと未来は見えません。

未来(今動いてるチャートやその先)を “予測” するのではなく

過去(確定した過去のチャート)から “流れを読み取る”

のがチャート分析です。

後付け認識になれば自尊心は守れるかもですが成長は確実に止まります。

③認知的不協和

認知的不協和とは、自分が思っていたことと矛盾する状態になったとき、不快な気持ちになる心理状態のことです。

そして、不快感を無くすために、矛盾した状態を解消する行動を取ります。

このとき、メンタルにプレッシャーがかかっていて合理的な判断ができないので、注意が必要です。

投資で上がると思って買ったら下がったときを例にすると、このときすべきは

❶損切り→矛盾した気持ちを受け入れる

❷そのまま上がるのを待つ→受け入れず自分に都合の良い解釈を求める

どちらかですが、

オレは間違ってないはず!

きっと反発して上がる!

矛盾を受け入れるのは難しく、多くの人にはできません。

そして自分に都合の良い、楽な方を選びます。

そして、

Twitterでもみんな上がるって言ってるから大丈夫♪

というように自分に都合が良い意見を探し、固執します。

これはもう自分の根拠も何もなく、ただ流されるだけの大衆心理に飲まれた状態です。

認知的不協和に囚われると損切りせずに持ち続ける場合が多く、大損します。

最初に恋愛でなかなか進展しないのに告白→玉砕する男性も、こういった心理状態に陥ってます。

怖いわー。。。

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7.損切りの大切さ

前項の心理と、前編のプロスペクト理論の基本原理を総括してみると

・意図に反して損失局面になったとき、利益の場合の2倍以上のプレッシャーを感じるので強いストレスを受ける。

・損失を取り返すためにリスクに積極的になりやすい。

・さらにストレス回避のために楽な考え=損失確定を先延ばし、にする。

・このとき自分の意図する側の情報だけを見ようとし、反対側の情報を受け入れられなくなり、さらに損失確定を先延ばす。

これが投資で損する心理状態です。

どーすりゃいーんだよ!

大切なのはただひとつ、

損切りは絶対

これに尽きます。

要するに「被害を最小限に抑える」ことを心がけるということです。

投資をする限り確実に損失局面はあります。

なので必ず損切りは考えるのが鉄則です。

損切り、嫌な言葉。。

嫌な言葉だとか負けを認めることだといって損切りを敬遠していれば大損してもっと嫌な負けを味わうことになります。

負け分を最小限に抑え、利益を最大限にすればプラスになります。

これがトレードで勝つ心がまえです。

損になることは普通にあることと認識しよう!

ちなみに損切りの重要性は中短期の投資に関してです。

長期積立投資では世界の経済成長に投資していて数十年レベルのことなので当てはまりません。

数年に一度は経済的ショックなどで下がることはありますが、その度に手放すのは賢明ではないでしょう。

この場合は一旦下げても回復するという気持ちが重要です。

経済は成長していく、一時的に下がっても人は必ず立て直そうとする

長期積立投資ではこれを大前提として、淡々と積立を続けましょう。

で、損切りはどうやりゃいーの?

損切りについてですが、自身のルールを作って厳守する

短期のトレードなら、注文を入れるときに一緒に損切り注文も入れておくのも手です。

というか、トレードではこれをルールにすべきです。

IFD注文てのがオススメ!

先に注文してあれば迷わない、か!

同じ損切りという結果にななるなら、どちらを選びますか?

A.手動で損切する

値動きを見続けてやきもきする(しかも逆行)ストレスに加えてプロスペクト理論という大敵が判断を狂わせてくるので躊躇してしまう場合もある。

B.損切注文を入れてある

値動きを見るストレスとプロスペクト理論に惑わされる心配がなく、自分で定めたポイントで機械的に損切りできる。

断然、Bだよね!

損切り注文を一緒に入れるということは、許容リスクを限定することになります。

設定した以上の損にはならないと分かっていればポジションを持った後は相場のみぞ知る、なので見続ける必要もなくなります(スキャルピングのような長短期では話は別です)。

“注文してポジションを持つと気になってチャートを見続ける” という初心者が陥りやすい行動を避ける効果があるわけです。

チャート気になってトイレも行けねっす!

チャートを見守っても結果は変わりません。

どれだけ根拠のあるトレードをしても損するときはします。

損失を限定して許容内にしておくことでメンタルへの負担を減らすことは大切です。

お金だけでなく心まですり減らしていては続きません。

中短期投資では損切りでリスクを限定することをしっかり身につけておきましょう。

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