今の大人は学校教育でお金について何も教えられないまま社会に出され、何となく昔からの考え方のままで過ごしてる人がほとんどです。
平成の30年を経て世の中は劇的に変化し、お金の知識がない人たちはあからさまな搾取対象になってます。サギだけでなく、企業や国からもです。
年金などの社会保障制度や税金、経済の仕組み、もっと身近でいえばキャッシュレス、円高円安、需要と供給などの基本的なことも
「社会人なら知ってて当然」
みたいな空気があります。もしあなたが
「知らないのは自分だけ?」
と不安に思ってるなら、大丈夫です。
ちゃんと知ってる人なんてほとんどいません。
国を動かしてる人たちですらそうなのです。
“知ってるつもり” が大多数、だから一緒に学びましょう!
1.世界恐慌と管理通貨制度
金本位制の限界
19世紀から世界的に採用された金本位制(各国の通貨の価値を金で保障する通貨制度)は、第一次世界大戦のときに戦費確保のために停止しました。
諸外国は再び金本位制を復活させるもすぐに世界恐慌になりました。
恐慌のあおりで株価暴落、失業者急増、生産力低下という状況になり、金本位制のままでは自国の金がどんどん国外へ流れることになります。

世界的に経済拡大→戦争→恐慌の流れで、量に限りがある金では行き詰まっちゃったわけです!
そこで各国は金本位制に見切りをつけ、新しい通貨制度=管理通貨制度へと移行します。
管理通貨制度とは?
国内に流通する通貨の量を中央銀行が管理、調整する制度です。
政府への信用が自国通貨の価値を保証することになったと言えます。
日本は明治になったばかりのころに太政官札という紙幣を作りましたが、政府に信用がなかったので失敗に終わりました。

政府の信用はもちろんですが、金融政策を打って発行量を調節しないと価値が上下しやすく不安定なのが管理通貨制度のネックでした。
不況に有効?ブロック経済
前述の通り世界恐慌によって金本位制から管理通貨制度へと移ったわけですが、各国が不況を打開できたのは管理通貨制度ではなく植民地を囲い込んだブロック経済でした。

ブロック経済は自国の景気回復に関しては有効でした。
ただし、英・仏・米などのような植民地を持つ国でしか有効性はなく、日・独・伊などは充分な恩恵を得られなかったために他国へ侵攻し、英・仏・米らと対立していきます。

三国同盟 vs 連合国の図式ですね!
また各国は自国の通貨価値(為替レート)を下げることで、国内産業の保護や輸出競争力アップを図りました。
しかしこれは貿易相手国の負担を増加させることになるので結果的には世界レベルで貿易は停滞することになりました。
世界恐慌対策で取られたブロック経済と為替レートの下げ合いのように自国の経済を守るために他国の経済を悪化させることを近隣窮乏化政策といいます。

世界の貿易停滞と植民地獲得競争を引き起こして第二次世界大戦になりました!
2.兌換紙幣→不換紙幣
交換できる紙幣とできない紙幣
前項の図にある通りで、
価値基準の対象と交換できる紙幣=兌換紙幣
対象と交換ではなく政府などの信用(権力)で価値を保障された紙幣=不換紙幣
といいます。
管理通貨制度では金のように国同士の共通の価値対象がなく、価値のすり合わせ(=為替)を常にする必要があります。
貿易は国にとって必須で、お互いの通貨価値のすり合わせである為替に各国は苦心するようになります。

前述の為替レートの下げ合いは恐慌によって自国に手一杯で世界全体を考えられない状況であればごく自然な流れです!
それぞれのメリットとデメリット
兌換紙幣と不換紙幣のメリットとデメリットをまとめてみます。
メリット
共通の価値基準で保障されてるので価値が安定しやすい
デメリット
兌換(交換)の対象分しか紙幣発行できない
貿易赤字になると通貨量も減ることになり不況になる
兌換紙幣の価値基準の対象は金と考えて問題ありません。
メリット
紙幣の発行量に制限がないため発行量の調節によって経済をコントロール可
デメリット
価格が上下しやすい→国内ではインフレリスク、対外国では為替リスクがある
政府の信用と社会情勢に影響されやすい
信用度が低い国は貿易で不利
これら管理通貨制度のデメリットは世界恐慌以降の世界経済を立て直すには至らず大戦を引き起こしました。
不換紙幣のデメリットの例を挙げると、
・明治政府が財政難から国立銀行に不換紙幣をバンバン刷らせ、無政策で大量に刷った結果深刻なインフレになりました(日銀誕生のきっかけ)。
・大戦前には各国が為替レートの下げ合いをして貿易が停滞しました。
・もし政府が全く別の勢力に変わって紙幣を変える、ということになると不換紙幣はただの紙切れになります。
つまり政府が安定していることが不換紙幣価値を支える条件です。
3.米ドルが基軸通貨のワケ
ブレトンウッズ体制
第二次世界大戦後、勝者である連合国は国際的な通貨制度を話し合い、新しい体制を作りました。
会議した場所からブレトンウッズ体制、IMF体制など呼び方は色々ですが内容を言い得てるのは金ドル本位制です。

当時世界の金の半分以上を保有してた米国が主導権を取り、米ドルだけが金と交換できる唯一の紙幣でありその他の紙幣の価値はドルに対して固定レートと決められました。

各国内では管理通貨制度、国際的な価値基準はドルでレートは固定、そのドルの価値は金が保障する、というドル中心の金本位制+管理通貨制度の合わせ技に!
金とドルの二重の本位制を柱にしてその範囲内で管理通貨制度で国内調整、という感じで米国中心の仕組みが出来上がりました。
ニクソン・ショック
ブレトンウッズ体制は戦後の不安定な時期こそ機能しましたが、他国も復興し、アメリカとソ連という2大超大国の対立時代が顕著になると状況は大きく変わってきます。
1971年8月、ニクソン米大統領が突然ドルと金の交換を停止
1973年、各国の為替レートを固定から変動制に
世界的に大影響を与えたニクソン・ショックと呼ばれる出来事ですが、主な原因は3つです。
①世界の経済規模が大きくなり、各国は輸出を拡大
→米国は貿易赤字になり金がどんどん流出
②ベトナム戦争の戦費がかさんで財政赤字に
→米ドルがどんどん流出、にもかかわらず米国初黒星
③米国内のインフラ整備で公共事業拡大の一途をたどっていた
→財政赤字に拍車をかけた
とどめは英国が30億ドルの金の交換を申し出たことで、いよいよ「ムリ」と判断し金ドル本位制は終了しました。
貿易赤字対策で10%もの関税をかけて米国産業を守る措置もしたので当時輸出メインで生産を伸ばしてた国は大打撃を受けます。

日本
固定レートで1ドル360円が変動制になって200円を割ることに。
米国への輸出で産業発展していた日本は大打撃を受けて方向転換、国内需要を拡大していくことになる。
日本経済は右肩上がりになるも行き過ぎた結果バブル崩壊へ。
ヨーロッパ
各国はお互いに貿易依存していたので変動制は日本とは違った打撃に。
通貨安定の必要性がきっかけでEC(EUの前身)発足、為替リスクをなくすという考えがベースで現在のユーロという統一通貨ができた。
ヨーロッパの為替リスク例
ドイツマルクが5%上がってイギリスポンドが6%下がったとすると、2国間では11%の変動ということになり貿易に大ダメージとなる。
こうして為替レートが変動制になり、インターネット普及で個人も自由に為替取引が可能になりました。
現代の紙幣の価値は国内では政府が保障し、国際的には国同士の需要と供給で変動するようになりました。
つまり、各国政府が「価値あるもの」と保障し、その世界的な価値は為替レートによって常に変わる仕組みです。
今のお金の価値とは “誰もが「価値あるもの」と認識している” という共通認識のもとに成り立ってるとも言えます。
21世紀になり、管理通貨制度で政府に保障された通貨=法定通貨だけでは問題があるという考えからこれまでの歴史とは全く別の角度で生まれたのが仮想通貨・暗号資産というものです。
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